糖尿病

糖尿病は難治性の疾患で、インスリンと呼ばれるホルモンが不足し、体が血液から糖分を摂取して筋肉に取り込ませる作用ができなくなっている状態です(1型糖尿病)。血糖値が上がると何年もかけて、血管、目や腎臓に損傷が生じます。糖尿病は、高い血糖値を正常な範囲に維持するため、インスリン注射で治療します。

糖尿病患者は、血糖値が高すぎたり、低すぎたりすると(「低血糖」)、気分が悪くなり昏睡状態に陥ることがあります。低血糖から起きた昏睡状態によって、脳障害が発生する場合や死に至る場合があります。低血糖となった糖尿病患者は、意識が消失する前に、興奮や混乱など非理性的になったり、意識障害に陥る場合があります。

意識を消失した人を見つけた場合は、DR ABCアプローチを完了した後、傷病者が糖尿病患者であることが記載された、緊急医療情報アクセサリーをしていないかを確かめてください。低血糖の方が高血糖よりも危険なので、意識消失を起こした、または混乱している、あるいは意識障害に陥った糖尿病患者を発見した場合は、糖分を与えてください。意識がある場合は、糖分の多い飲み物でいいでしょう。意識が消失している場合は、ハチミツまたは糖分を頬の内側にすりこんでください。

救急車を呼ぶことは必須です。

高齢者で特に肥満であると、自分のインスリンに抵抗性を持っている場合があり、血糖値を下げる錠剤で治療を受けている場合があります(2型糖尿病)。インスリン注射による治療を受けていないのであれば、2型糖尿病患者が糖尿病関連の緊急事態に陥ることは稀なことで、低血糖発作を起こすことはありません。