血液または嘔吐物による不完全気道閉塞

ノドの後ろから液体を取り除く効果的な方法は、負傷者の体を横向きにし、重力によって排出させることです。気道が閉塞した負傷したプレーヤーは、救助者が気道を開通させない限り、ほぼ確実に死に至ってしまうので、いかなる頚部損傷の可能性があったとしても気道確保が最優先されなければなりません。

それゆえに、血液や嘔吐物によって気道がゴロゴロした音を出している場合、すみやかにプレーヤーを横向きにするべきです。血液や嘔吐物が肺にはいると、後に更なる呼吸の問題を引き起こします。

理想的には、負傷者に寝返りをうたすには、4名までの人が参加するべきですが、救助者が単独の場合でも、負傷者を横向きにして液体を排出させるたり、あるいはHAINES法 (High Arm In Endangered Spine=脊椎損傷の危険性のある場合における上腕挙上)を用いることができます。これは、従来の”roll and recovery position” (ロールと回復体位)の改良された方法で、首の側屈を少なくします。これについては、脊椎損傷の章で更に詳しく述べます。

ひとたび気道が確保できたら、DR ABCのAが対処できたことであり、救助者はB-呼吸の詳細な評価に進むことができます。

気道を閉塞している嘔吐物除去のためのHAINES法を用いた緊急ロール

Skill3

HAINES式緊急ロール手順

  1. プレーヤーの近い方の手をプレーヤーの胸部に置く。
  2. プレーヤーの反対側の手をプレーヤーの頭沿いに上げる。
  3. 自分の手をプレーヤーの頭の下に置く。
  4. 自分のもう一方の手をプレーヤーの近い方の肩/上腕に置く。
  5. 頭を支えながら、負傷者を自分から遠ざけるように寝返りをうたせ、頭を後屈させる。
  6. 液体を重力によって排出させる。
  7. 元の体位に戻す。
  8. 気道を再評価する。

 

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